緑豊かな普代村では「薪ストーブ」を使用している方が少なくありません。
今回は基本的な使い方や、暖房だけじゃない活用法をまとめてみました。
<薪ストーブのメリット>
ファンがないので、静か。
いつでもお湯が沸いている。
調理ができてガス代が浮く。
輻射熱で身体の芯まで温まる。
水道凍結リスクが下がる。
災害の備えになる。
<薪ストーブのデメリット>
薪ストーブ仕様の住まいが必要。
手間がかかる。気軽に焚けない。
うっかりしていると消える。
薪の保管場所(外と中)が必要。
室内で場所をとる。
煙の臭いがする。
<薪ストーブの肝!「煙突設計」>
薪ストーブを安全で快適に使用するには、煙突設計(長さ、配置など)が重要です。
これが上手くないと、「火が着かない」「煙が逆流する」「ススが溜まる(煙道火災のリスク!)」などの問題が生じます。
上昇気流をつくれなければ、薪ストーブは機能しません。
「よく分からない」「上手くいかない」というときは、煙突設計をプロに任せるのが安心です。高所作業もあります。安全性や使い勝手に直結する部分なので、慎重に。
<必要な道具>
斧、ノコギリやチェーンソー、手斧や鉈、薪割機、耐熱グローブ、火ばさみ、灰かき棒、ジュウノウ(炉内から灰をかき出すスコップのようなもの)、灰掃除用のホウキとチリトリ、灰を入れておく耐熱容器(一斗缶など)、煙突掃除ブラシ(煙突サイズに合ったもの)、マッチやガスバーナー・ガストーチ、安全柵など。
<着火のコツ>
薪はよく乾燥したものを使う(針葉樹:半年以上、広葉樹:1年以上)
細い薪を、空気が通るように置く
火口は薪の上に置く(ススが減る)
空気調整窓を開けておく→火が着いたら閉める
<着火に使えるもの>
針葉樹の葉(松やスギ)、松ぼっくり、麻ひも(適当な長さに切って、ねじってほぐし丸めて使う)、
乾燥したセイタカアワダチソウ、乾燥したガマ、ススキの穂、小枝、落ち葉、木の皮など。
乾燥前のセイタカアワダチソウ(乾くと綿毛状になる)
乾燥したガマ
ほぐした麻ひも
着火剤を切らしてしまったとき、緊急的に使うなら…
新聞紙、食用油をしみ込ませたティッシュ、小枝をガムテープでグルグルにしたもの、段ボール、牛乳パック、ワセリンコットン(コットンに溶かしたワセリンをしみ込ませたもの)・オイルドチップ(不燃性の容器で保管しましょう)
オイルドチップ
※炉に薪以外の物を入れるとストーブが傷んだり、異常燃焼や灰詰まりの原因にもなります。また、灰の活用にも影響するので、できるだけ使用は避けましょう。
<強風と薪ストーブ>
強い風が吹くとバックドラフト(逆流)が発生しやすくなります。
強風の日、初心者には薪ストーブの使用が難しいかもしれません。
<薪ストーブの香り>
燻製で香りが木の種類によって変わるように、薪の種類が違うことで、漂う香りが変わってきます。
甘い香りがするのは、「サクラ」。
雑木薪に入っていたらラッキーです。
<薪の保管>
ストーブの使用期間中は、土間など屋内に1日分くらいの薪を確保しておきます。
天気予報を見て雨や雪の予報があれば、屋外の薪にブルーシートをかけつつ、屋内保管を増やしたりします。
(余談)薪には虫が付いていることがあります。屋内に入れたくない方は、確認しながら作業しましょう。カメムシ、クモ、ときにはハチ。
<室内保管できる!薪割不要!「ブリケット薪」>
豆炭(炭を粉にして成型する固形燃料)のように、おがくずを高圧縮した「ブリケット薪」なるものがあるそうです。
室内保管ができるので、虫の心配が減ります。
ペレットストーブみたいですね。室内に保険として用意しておけば心強い!
<薪ストーブとマツタケ>
マツタケの生育に、実は薪ストーブが貢献します。
マツタケが生えるアカマツは、痩せた土地を好む木だからです。
薪ストーブで、木や落ち葉を利用することで、生育環境がよくなります。
<薪をくべる>
使用中は火を絶やさないよう、炉内を確認して薪をくべましょう。
火が小さくなっていたら、空気調整窓を開け燃えやすい小枝や細い薪を入れてみましょう。
雨や雪で薪が湿っていたら、薪ストーブの脇に置いて予め乾燥させておきます。
<料理>
薪ストーブで料理や乾物を作ることもできます。
鉄板やスキレットを使えば、焼き物もできます。その上に脚付きの焼き網を載せれば乾物(干し野菜、ドライフルーツ)も作れます。
ドライフルーツは、そのまま食べても、紅茶に入れても美味しいです。
真冬に凍み大根を作るときは、薪ストーブに大鍋を掛けて一気に湯がくとラクです。炉の中でイモなどを焼くこともできます。
※注意点
テフロン加工の器具を使わない(テフロン加工を傷める)
鋳物など丈夫な器具を使う
プラスチックの取手は、熱で溶けてしまうことがある
器具の持ち手が高温になるので、注意する(耐熱手袋、布巾などを使う)
時計型の薪ストーブは、シーズンオフには片付けることができますし、軽量で持ち運びができるのでアウトドアでも活躍します。
調理器具のサイズに応じて、天板の蓋を外せば直火調理も可能。
一斗缶などを用いれば燻製もできます。
息子が通っている森のようちえん「つちのこ保育園(茂市)」で、新米を羽釜で焚いたのをいただいて、すごく美味しかったです。
極度の面倒臭がりの私ですが、せっちょうしても食べたいと思いました。
<加湿>
薪ストーブを使用していると、室内が乾燥します。
湯を沸かしておくと、加湿と給湯の一石二鳥。
空焚きにならないように、時々様子をみましょう。
<灰の活用>
薪ストーブを使用していると、灰が出ます。この灰、ただ捨てるだけではもったいないです。
●薪ストーブの保護
炉内の灰は、薄く残しておくとストーブの底が熱くなり過ぎるのを防げます。
●肥料
灰にはカリウムとカルシウムが含まれており、肥料として使うことができます。灰はアルカリ性なので元肥として使用する場合、植え付けの一週間前には土にすき込んでおきましょう。追肥の場合は、直接、根に触れないように散布します。灰の臭いには防虫効果もあります。
◎灰と同時に散布するのを避けたいのは、化学肥料です。窒素が多いため混ざるとアンモニアガスが発生する恐れがあります。使用する場合は時期をずらすようにしましょう。一緒に散布するなら、油かすがおすすめです。
●掃除
灰はアルカリ性なので、重曹のように油分やたんぱく質汚れの掃除に利用できます。
※アルカリに弱い素材には使用しないでください。(アルミ、銅、天然繊維、畳、皮革、大理石等)
※肌荒れをしないように、手袋を着用しましょう。
▽掃除や液肥に使える「灰汁」の作り方
1.灰をふるいにかけて、炭などを取り除く。
2.灰の3倍量の熱湯をかける。
3.コーヒーフィルター等で漉すor分離するのを待って上澄みをすくう。
●干物づくり
四国鳴門には、草木灰を用いて乾燥させる「灰干しワカメ」というのがあるそうです。この「灰干し」の製法を用いて干物を作ることができます。
灰干ししたい魚介類を塩・酒・水を混ぜたものに浸す。
トレーに灰を敷き詰め、その上にキッチンペーパーを敷く。
そこへ、水気をとった魚介類を置く。
キッチンペーパーを被せ、さらに灰で覆う。
冷蔵庫で一晩置く。
※灰干しした魚介類は、水分が少ないので高温で一気に焼きます。
<煙突掃除>
時々、煙突掃除も必要です。煙突の継ぎ目から煙が漏れているときは、スス汚れが増えている可能性あり。
掃除は、薪ストーブが冷えている状態で行います。
掃除中は周囲にススが落ちるので、汚れそうな場所を養生しておきましょう。
煙突ブラシは時計回りに回しながら使います。