暖かくなってきました。山歩きが楽しい季節です。山に入るとき、気を付けたいのがトゲのある植物。今回は、普代に生えているトゲのある植物と、その対処法についてご紹介します。
【タラノキ(タランボ)】
最初は、見つけて嬉しいトゲから。山菜の王様と呼ばれる「タラノキ」には、全体的に大小さまざまなトゲが生えています。直線的で樹皮は白っぽく目立つ木です。山の斜面など日当たりの良い場所を好みます。翌年も楽しめるように、新芽を採り尽くしたり木を折ってしまったりしないよう気を付けましょう。
◎木の皮や芽に含まれる「エラノサイド(苦味成分)」は、甘い物が好きな方や、ついつい食べ過ぎてしまう方におすすめの成分です。
◎「タラノキ」は栽培することができますが、地下茎によって繁殖するので庭に直接植えるよりプランター栽培がおすすめ。タラノキは、トゲはあるものの枝が少なく、まっすぐ上に伸びるので管理しやすいのが特長です。
【サンショウ】
トゲは葉枝の基部に2本1組で付いています。特徴は、羽根状に付く小さくギザギザの葉。4月ごろに出る若芽は、柑橘のような爽やかな香りが特徴です。用途は香味みそ、刺身やタケノコご飯、吸い物などの風味付け、木の芽焼きなど。より香り成分を出すため、手でポンと叩いてから使用します。実サンショウの時期は6~7月ごろ。
◎実サンショウの下処理
(1)枝を取り除く※軸が少し残っても大丈夫です。
(2)沸騰した湯に塩を一つまみ入れ、湯通しします。
(3)ザルに上げたあと、水にさらします。さらす時間は、味を見ながらお好みで。
⇒佃煮や調味料に(醤油漬け、塩漬け、酢漬け、オリーブオイル漬けなど)
木は硬くてデコボコがあり、「すりこぎ」として目にしたことがある方もいるのではないでしょうか?
冷蔵庫の無かった時代、サンショウの木でできたすりこぎ」は、解毒作用で食あたりを防いでくれると言われていました。
【ノイバラ】
クズと一緒に生えていることが多い「ノイバラ」。学名ロサ・ムルティフローラ。バラの代表的な原種。トゲは鉤(カギ)状で、服などにひっかかりやすいです。ノイバラにはアブラムシが付きやすく、その甘露と花の香りでハチが集まってきます。この素晴らしい共生システムにより、草刈りは難航するのです。ノイバラは荒れ地(未開拓)の象徴といいますが、「鶏が先か卵が先か」問題と同じじゃないかと感じます。
◎ノイバラの除去
(1)枝がグラグラしていると切りにくいので、足で踏んで固定します。
(2)根元を切って、枝を袋などに入れます。(持つ時はトゲの少ない根元がおすすめ)
(3)根を抜いて、袋などに入れます。
※ノイバラは挿し木で増えます。切った枝を放置しないようにしましょう。
※ノイバラは年寄ると木質化するので、ノコギリがおすすめです。
◎タラノキ幼木とノイバラは似ています。
【イラクサ】
青じそに似ていますが、香りがありません。刺毛がびっしり生えていて、触ると痛痒くなります。草刈りや山歩きの際は、長靴や軍手を忘れずに。
〈トゲ対策に必要なアイテム〉
■皮手袋
トゲ植物に立ち向かう際のマストアイテム。しかし、過信は禁物です。貫通することもあります。
■ニッパー
植物自体を切ったり、抜いたりできないときはニッパーでトゲを折ります。
■トゲ植物を切る時は…
・他にも生えていないか周囲を確認。
・作業中にうっかり掴んだり、切ったトゲの上に手や膝をつかないように注意。
手元のトゲに集中して、ふいに膝をついた時の痛みといったら…
・剪定枝を移動させる際にはトゲが生えている向き、場所を確認。
〈トゲがあって持てないとき〉
方法1:トゲを折って持つ場所をつくる
方法2:ブルーシートを重ねて包んで運ぶ
■剪定は葉の少ない時期に
周囲の植物や葉が茂っているときは、トゲが見えにくくケガをしやすくなります。
「茨(いばら)にとげあり」というように、物事の多様な側面について考えさせられます。
便利過ぎる世の中では、きっと麻痺してしまう感覚です。山に入って目が慣れてくると、トゲ植物の生えていそうな場所がだんだん見当ついてきます。トゲの対処が分かれば、自然の楽しみがもっと広がりそうですね。
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