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移住の決め手は何ですか?

移住を考えるとき、その人それぞれに「こんな場所に住みたい」というポイントがあると思います。今回は、実体験から「普代に来たいと思ったポイント」についてご紹介します。移住を検討している方の参考になれば幸いです。


▽こんな人の体験談

普代には、嫁に来ました。移住後に出産。実家は宮城県の沿岸・女川町です。隣県にありながら、三陸道ができるまでは帰省に片道約6時間かかっていました。(現在は、3時間くらいです。)移住後の仕事は、育児と両立できれば、こだわりなく頑張ろうと思っていました。これまで経験のあった事務の仕事は、多くはないものの全く無いわけでもありません。現在、仕事は焼き豆腐の製造販売で、繁忙期のお盆と正月には、母に来てもらって子守りをお願いしています。

普代村と出身地の女川町は、生活環境が似ています。例えば大きいスーパーに買い物に行くのに車で30分くらいかかる/高校の通学は汽車等で1時間近くかかる/下水道の普及率が低いなど。生まれ育った環境と変わらないので、不安はありませんでした。


三陸道が通るまでは、沿岸の実家に行くのに内陸を経由するので、時間もお金もかかりました。


【人が優しい】

これは、何より普代に来たいと思ったポイントでした。私の場合、夫が先に移住していたので、夫と地域の方の交流の様子を見て、「なんて温かい人たちだろう!」と感じました。良いことがあれば自分のことのように喜んでくださったり(ときには涙しながら!)、「ほにほに」と慰めてくれたり、我が子のように叱ってくださったり。日常の中に、優しさが溢れています。


唐突ですが、私は3.11で実家が被災したので、ボランティアの方と触れ合うことがあり、人生でこんなに優しくされたり、励まされたり、感激することってないだろうと思っていました。でも、普代村を訪れてみて、普段から、こんなに誰かを大切に思える人たちがいるんだと驚きました。


一方で、普代村は人口が約2,400人と、岩手県では最も人口が少ないので、その分、窮屈さを感じたり、人との距離感が難しいと感じることもあります。でも、そうした戸惑いを吹き飛ばすぐらい、毎日、優しさをいただいています。




【子育て環境が良い】

都市部では「子どもが騒がしいから公園を閉鎖しよう」という意見が聞かれることがあるといいます。普代村では、反対に「子どもの声が聞こえないと寂しい」といって、地域の方が子どもを可愛がってくれます。私は、いわゆるアウェイ育児になりますが、子育てをしていて孤独を感じたことはありません。「何かのときは、子どもをみてあげるよ!」「お下がり良かったらいる!?」などなど、地域の方が気にかけてくださいます。子どもが元気を持て余していても、「良いが~(気にしなくて良いよ)」とニコニコ見守ってくださる地域のみなさま、いつも本当にありがとうございます。



お隣のおばあちゃんが折り紙で作ってくれたメリー。


都会と違って、普代村や周辺地域には子育てに関するサービスは多くありません。それでも地域の助け合いがあるので、普段はなんとかなっています。


〈子どもがいても、共働きできる!?〉

普代村には保育園は2カ所あります(「普代村立はまゆり子ども園」・「つちのこ保育園(岩手初の日常型森のようちえん)」。ほかにも村の子育て支援センター(はまゆり子ども園内)で一時預かりを行っていますし、2、30分車を走らせれば他の預かり事業、病児保育を行っている小児科があります。小学校に入れば、利用料無料の放課後子ども教室があります。




〈気になったこと〉

気になるところがあるとすれば、義務教育の後です。高校以降は距離が離れているので、お金や時間がかかります。普代村は子育てに関するお金の支援(第1子から育児祝金30万円、高校まで医療費無料など)が充実しているので、今のうちからやり繰りしていかなくてはと思っています。


〈時間の使い方が身に付く!?〉

義務教育後は、村内に学校が無いことから通学時間は長くなり、子も親も時間の使い方について意識するだろうと思います。

地理的に不便さがある普代村では、時間について思いを巡らせることは必然です。普代で暮らすことで、時間をテーマにした児童書「モモ」で問われているような学びを得ることができます。もともとのんびりした性格の私は、これまで都市部で生活したとき、便利さに甘えきっていました。何かするのに、夜中までかかってしまったり。自分自身が「時間どろぼう」になっていました。


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普代村は都会に比べて不便であるが故、将来の選択肢が限られているのではと不安に思う方もいるかもしれません。それでも本当にやりたいことが見つかれば、環境の課題はクリアできるのではないかと考えます。普代村はプロ野球選手を輩出していますし、演奏家や声優さんなど、さまざまな分野で活躍する出身者がいます。


〈普代の習い事〉

因みに地元で通える習い事は、「そろばん教室」「はまゆりスポーツクラブ(チア、野球、フットサルなど)」です。また、村では小3~中3までを対象とした無料の学習塾を利用することができます。(テキスト代はかかります)


◎コロナ禍以降、非対面サービスが多様化したことで、普代に住んでいても利用できる習い事が増えました。



【家族の結束が強い、子どもの勤労観を養えそう】

私が子どもの頃は、親の働く姿を見たことがありませんでした。普代村では、漁業など家族総出で仕事に当たることが珍しくなく、そこが良いなと思っていました。その分、大変なことは多いと思いますが、仕事を通じた家族のつながりに新鮮さや魅力を感じますし、子どもの勤労観を養えるのではないかと思います。


【好きなパンがある】

パンが好きなので、「好きなパンがあること」も決め手のひとつでした。おすすめを紹介させてください。


■下川原商店さん「クリームパン」

名物のかりんとうを彷彿とさせる、うずまき模様が目印。中にもカスタードが入っています。しっとり柔らかな生地と、昔ながらの素朴なクリームが相性抜群。私のベストクリームパンです。初めて食べたのに懐かしい味!何かに似てると思ったら、子どもの頃、風邪をひいたときに食べさせられたカスタード?玉子酒?の味でした。「おかあさーん」って、言いたくなるパンです。

※お店のXで、移動販売の情報を発信しています。




■ピーターズバーグさん/ハックの家「オレンジパン」

関東エリアの老舗ベーカリー「ハンスローゼン」の指導を受けてスタートしたハックるパン。中でも、オレンジピールがたっぷり入ったパンがおすすめです。程よいしっとり感があって、オレンジピールのホロ苦さと甘さを噛みしめて食べます。


■上神田精肉店さん「カレーパン」



カリもちの生地に、甘口でスパイシーなカレー。最高です。ベストカレーパン。取材でお店を訪れた渡辺徹さんが絶賛したというのですから、間違いありません。お取り寄せ不可。普代でしか食べられない一品なのです。


私の中でカレーパンとクリームパンの一番は普代村にありました。


【健康的な暮らしができそう】

以前、よそで暮らしていた時、夜中になると熱唱する人がアパートにいて、辛い思いをしたことがありました。ほとんどが一軒家の普代村では、恐らく騒音問題は少ないだろうと思います。人が多いことによるストレスはありません。ちょっと都会に行くと、「今日はお祭りかな」と思います。また、普代村では、夜営業しているお店が少ないことから、生活リズムが整いやすいのではないかと思います。


移住して変わったことは、野菜をたっぷり食べるようになったことです。普代村では、農家でなくても野菜を作っているお宅が多く、おすそ分けをいただいたり、自分でも作ったりして野菜をたくさん食べるようになりました。昔、昼夜関係なく仕事をしていたころには、食事に気を配れなかったので、消化器系の不調や湿疹等で悩んだことがありました。どちらも病院に行ってみても原因は分かりませんでした。普代村に来た今では、ほとんど解消されています。



お隣さんにいただいたカボチャ。大きさにびっくり!


もう一つ変わったことは、毎回湯舟に浸かるようになったことです。お風呂が古くて沸かさないといけないので、湯舟に浸かるのですが、これによる健康効果も大きいと思います。


唯一、不健康だなと思うのが、ほとんど歩かないことです。散歩が趣味だったのにまったく歩かなくなりました。理由は、茂みにクマがいそうと思うから、そして歩く時間と気力体力が無いからです。


※普代でも、意識的に歩いている方もいます。私が住んでいる地区の区長さんは、散歩を欠かしません。出くわして少し一緒に歩いたことがありますが、スピードについていけませんでした。


◎移住の目的として、「ライフスタイルを変えたい」と考える人が多いと言います。私の場合、仕事内容にこだわりはありませんでしたが、働き方は変えたいという思いがありました。それまで、職場と家の往復しかしてこなかった中で震災や原発事故が起こり、人とのつながりの有難みを実感したからです。地方に移住すれば、収入は下がる傾向にあるものの、収入だけが暮らしの豊かさではないと確信しています。

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